4,5年ほど前までは、収益不動産の不動産売買仲介会社から物件情報が入り、すぐに買付をしても分単位で他の購入希望者に買い負けるなんてこともありましたが、状況が落ち着いた今でも収益不動産を購入したいまたはいつかは購入したいと考えている方はいらっしゃるのではないでしょうか。
ただ一時期のように収益不動産売買に積極的に貸付を行う銀行さんは減っているため、収益不動産の購入は難しくなっています。また、購入時の登記関係費用、購入後の不動産取得税の支払等、収益不動産購入に際しては、おおよそ物件価格の1割程度の費用の支払いが必要であり、厳しい経済状況の中で、大金を払っての不動産投資に抵抗がある方は多いと思われます。
不動産を買わずに会社を買う
このような状況の中、不動産投資を行うこと自体に抵抗がある方がほとんどであると思いますが、不動産取得税を払うことなく、複数の不動産を一括購入する手段があるとすれば興味を持たれる方もおられるのではないでしょうか。
その方法は収益不動産を複数保有している会社を購入するという方法です。別途本業をもつ会社の社長さんが、収益不動産事業を別法人で行うことがあり、おおむね3つ以上の収益不動産の経営を行う会社(資産管理法人)の購入に対し、銀行が資金を融資してくれるケースがあるのです。収益不動産の単体の売買ではなく、不動産保有会社のM&Aにより会社を買う手続きを行うことで、複数の不動産をまとめて買うことができるのです。
また会社を購入することで、不動産の名義を変えることなく新たな名義人となれるため、不動産取得税の支払いが必要ないということになります。不動産を購入すれば、原則として不動産評価額の4%(別途軽減措置あり)程度の納税が必要なことを考えれば、取得税支払を回避しつつも複数の収益不動産をまとめて購入できることは大きな魅力です。
資産管理法人の買収の実情
ではどのように複数の収益不動産を持つ資産管理法人を購入することができるのでしょうか。具体的には以下の方法が考えられます。
- 法人の株主から直接購入する
- 法人代表者死亡により会社を譲り受けた相続人から直接購入する
- M&A仲介会社から情報提供を受ける
- 法人の売り手側に融資を行っている銀行から情報提供を受ける
収益不動産は普通の商品のように誰にでも見れる形で市場で売買されていないものになります。特にM&A仲介会社、銀行等から購入するためには、秘密保持契約を結んだ上で、秘密裡に買収手続きを進める必要があります。またM&Aを安全に行うために会計士、弁護士等の専門化の力を借りて、売り手、借り手の納得の上で会社を購入することが必要になりますので、難易度は高い手続きにはなります。ただ適切に買収ができれば、銀行融資も活用して会社ごと購入をすることで、効率的に不動産経営に参入可能となります。すでに会社経営をされている方で、このような案件に遭遇する機会があれば一度購入を検討されてもよいかと思います。
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