副業が注目されるのと並行して、「兼業」というキーワードも注目を浴びていますが、「副業」と「兼業」の違いはどこにあるのでしょうか?
厚生労働省が2018年に作成したモデル就業規則には、以下のように定義されています。
(副業・兼業)
第67条 労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる。
2 労働者は、前項の業務に従事するにあたっては、事前に、会社に所定の届出を行う
ものとする。
3 第1項の業務に従事することにより、次の各号のいずれかに該当する場合には、会
社は、これを禁止又は制限することができる。
① 労務提供上の支障がある場合
② 企業秘密が漏洩する場合
③ 会社の名誉や信用を損なう行為や、信頼関係を破壊する行為がある場合
④ 競業により、企業の利益を害する場合
(厚生労働省 モデル就業規則(平成30年1月作成)参照)
基本的にはこれら二つの用語は同様の意味で使われているようです。
士業における兼業事情
ちなみに士業の世界では、昔から「兼業」が盛んに行われていて、逆に珍しくとも何ともないぐらいに感じていますが、実際にどのような現状になっているのか、私の知っている範囲で書き記したいと思います。
司法書士の兼業事情
司法書士さんは主に法務局において登記申請手続をする専門家ですが、登記に関連する兼業が多いです。
特に不動産会社を顧客にする事務所が多いので、ここから受注の見込まれる土地建物の表示登記業務(土地家屋調査士)、農地転用に関する手続業務(行政書士)に関わる兼業が多いです。
ただし司法書士単体で稼げる事務所が多いので、専業司法書士さんが多いですし、司法書士、土地家屋調査士、行政書士の合同事務所にして、分業制で業務受注するケースも見られます。
最近では自ら不動産業(宅地建物取引士)を営む司法書士さんも見かけたことがあります。
税理士の兼業事情
税理士さんは会社等の税務申告の専門家ですが、顧問先の許認手続等も任せられることが多いですから、行政書士の兼業をされることが多いです。しかも税理士として登録されている方は、行政書士登録さえすればすぐに行政書士業務ができますので、税理士兼行政書士の事務所は多いです。
逆に言えば税理士業務の中でおのずと行政書士業務は発生しているということが言えます。私の事務所も税理士さんからの紹介で仕事をさせてもらうことも多いです。
また顧客のニーズに答えるために社会保険労務士(給与計算、社会保険の手続等)、保険代理店(生命保険の紹介)を兼業される事務所もあります。
まとめ
業界的には兼業はよくある話ではありますが、特徴としては本業に関連する兼業であることが多いということです。まったく関連のない兼業ではなくて、本業の受注に付随するケースや、本業の知識経験を生かすケースがほとんどのように思います。関連があるからこそ、兼業が自然な形で行われているのかもしれないですね。