起業に関するブログを書いていますが、よく考えてみれば自らの仕事である士業に関する起業について敢えて触れてこなかったなあということにふと気づいたので、今回はこれをテーマにしてみたいと思います。
ここで言う士業というものは、弁護士、税理士、司法書士等国家資格を取得して、独立開業して行う事業のことを指します。(ただ今回の記事の内容は弁護士さんにはあまり当てはまらない話かもしれません)
士業はリスクの少ない事業か
私自身は元々サラリーマンの倅でして、普通に大学を卒業して普通に就職することを考えていたのですが、某大学受験通信教育の付録で、職業図鑑のようなものがあり、ぼんやりと眺めていたら士業は国家資格を取得して開業すれば、平均年収〇千万円の年収が可能であるとの記載があり、それを信じて士業で独立することを勝手に決めてしまいました(笑
現実は厳しいもので、開業当初は仕事もなく、アルバイトをしながら3~4年かけてなんとか食っていけるようになったというのが事実であります・・・ただ今考えると普通に起業をするよりも、士業における起業は比較的低リスクであったのではないかと考えています。主な理由として以下の2つがあります。
理由1 資格と仕事が認知されている
まず第一に士業というものはビジネスにおいて一定の認知がされており、一定量の仕事、市場が確立されているのは大きいです。国家資格を取得した開業者であっても、営業に行けば少なくとも話は聞いて頂けたように思います。その後の受託は実力次第となりますが・・・
理由2 初期投資額が比較的少ない
例えば飲食店を開業しようと思えば、お店の改装、準備のために何千万円という投資が必要となることが想定されますが、士業の開業は最悪自宅での開業も可能であり、小資本での開業が可能です。資格の種類によっては何百万円の投資が必要な場合もありますが(税理士さんのオフコン、土地家屋調査士さんの測量機器等)、それでも他の業種の開業よりも比較的低予算での開業が可能だと考えられます。
今後の士業の将来性について
日本には様々な士業の事務所があり沢山の優秀な先生がたがお仕事をされています。今後もこの状況は変わらないと思うのですが、実際にお話しを聞いてみると、「将来性に不安を感じる」と話をされる方は非常に多いです。
理由1 将来的な書類仕事の減少
我々の仕事は様々な書類作成により報酬を頂くことを生業にしてきましたが、電子申請の浸透、士業関連業務のパッケージソフトの発展により、お客様の側でできる業務が増えており、我々の仕事自体が減少傾向又は今後減少する可能性があるということが考えられます。またAI技術の進展により我々の仕事自体がなくなる可能性もあるという話を聞くこともあります。ただ今は具体的にどのような影響があるかは未知数ではありますが・・・
理由2 異業種の参入の可能性
これは一部の方の仮説ですが、実は銀行業界の参入がありうるのではないかと聞いたことがあります。
士業の仕事は法律により仕事の範囲が定められており、無資格の方が勝手にその仕事ができないことが明記されています。ただ電子申請の分野については業務独占を認められていないケースもあるようで、今後の動きにより異業種の参入がないとは言えない状況になっています。
また士業制度は全世界で同様に認められているものではなく、世界的な経済協定の締結が進めば、ビジネスルールの統一化の可能性もあり、日本の士業制度が今までと同様に職域が守られる保証はなくなってきていると考えられるのです。このような流れの中、様々な会社の支援を行っている銀行が、電子申請の分野で士業業務に参入することは十分にあり得ると考えられます。
まとめ
端的にまとめれば、士業は比較的低リスクで開業し稼ぐことができたが、今までの延長戦上で仕事を続ければ将来は今ほど稼げなくなるということになろうかと思います。逆に考えれば、今までのやり方が通用しなくなる業界では、新しい視点、能力をもった参入者にチャンスがあるとも考えられるので、比較的閉鎖的な業界であった士業の世界を大きく変えるようなビジネスモデルが今後出てくるのではないかと個人的には期待しています。
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