補正予算の審議を経て、5月1日より以前から予定されていた資金調達、補助金、助成金の受付が開始されました。様々な事業所が、未曽有の困難を乗り越えるために努力を重ねていますが、政府の施策をフルに活用してこの状況を何とか乗り越えようとしている方も数多くおられます。今回はその中でも、様々な業界において幅広く活用されている制度の活用状況についてまとめてみたいと考えています。
緊急事態で活用される制度
飲食店等の緊急事態宣言後、売上が激減した事業所さんは、いち早く持続化給付金の申請準備を進められています。
持続化給付金は前年比で売上が半減した事業所が、法人は200万円、個人事業は100万円を上限に給付金を受け取ることができる制度で、インターネットでの申請を行います。申請から2週間での給付金交付を想定しており、比較的早いスピードで資金確保が可能となりますが、1日の初日の申請ではうまくサイトにアクセスできない方が多数おられ、なかなか申請受付までたどり着けなかった方が多くおられる状況です。ただ役所の窓口まで行かなくても受給が可能な制度であるため、取り急ぎ活用していただきたい制度です。
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資金繰り対策で活用される制度
今現在の混乱がいつまで続くかわからない状況であるため、融資による資金調達を検討されている事業所さんは多数おられます。利子支払の一部(又は全部)政府負担(3年程度)、無担保、元本返済繰延(5年以内)の条件が認められるものが多く、経済状況が回復すると予測される1~2年程度の借入返済を猶予して頂き、長期戦に備えるために準備を進める事業所様が多くおられます。
特に補正予算成立後の5月1日より、セイフティネット保証4号、5号の融資の受付が開始しました。この融資により、条件を満たすことができれば、3年間無利子、無担保、5年以内元本返済繰延さらに保証料なしの条件で借入が可能なため各種銀行等民間金融機関への申し込みが殺到しています。(具体的な融資条件については銀行の担当者さんにお問合せ下さい)
今現在確認した状況ですと、セイフティネット保証の融資は、今申し込みして1カ月強、さらに今後の受付状況により融資実行までの期間が長くなる可能性があるとのことでした。また日本政策金融公庫の新型コロナウイルス感染症特別貸付の申請も殺到しており、融資実行まで2~3カ月程度の時間がかかることもありうるとのことでした。
従業員さんの休業補償に活用される制度
厚生労働省の雇用調整助成金の活用を検討されている事業所さんは多いですが、この助成金は、準備、計画、受給申請まで早くても3カ月、場合によっては半年程度時間がかかるのが実情であるため、あくまで長期計画での想定が必要となります。休業補償は助成金の支給までは先行して企業側が支払、後日助成金により補てんされる形での運用となります。
制度の活用の状況
上記のものを含めて、様々な制度が用意されているので、各事業所で同時並行で準備が進められていますが、残念ながら即効性のあまりないものが多く、中長期的な対策として制度を活用していく必要があります。融資の実行により当面の資金を確保し、各種助成金の申請により後々の資金補てんにあてる。売上急減の緊急時に一回単発の持続化給付金を確保するというのが基本戦略になるかと思います。
個人的に想定している注意点としては
1 融資を受ける以上当然10~15年程度の時間をかけて返済が必要となるため、コロナウイルスの影響がなくなったあと事業継続して返済の見込みがあるという前提で融資を受ける必要があること。
1 緊急時の融資とはいえ、融資実行まで少なくとも1カ月程度はかかるため、早めの準備が必要であること。急に資金が必要になっても、今の現状では銀行担当者の素早い対応にも限界があるという前提で行動する必要があるということ。
1 今後も補正予算が組まれることが予想されるが、今現在は次がいつかの明確な情報はないため、その前提で行動する必要があるということ。特に資金調達が可能な事業所はその前提で長期戦に備えて融資の申し込みを進めることも必要。
今の危機を回避しながらも、コロナ後を見据えた事業運営、将来展望も必要となっています。あらゆる方の力を借りてみんなで頑張っていきましょう!
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