5~6年ほど前に、民泊事業の開業支援をさせて頂くことが個人的に多かったのですが、保健所の旅館業担当の方が、パニックを起こしそうになるぐらいに忙しくされていたのを今でも覚えています・・・
今回は民泊についての概略の説明と、今後の民泊の在り方について個人的な見解を記しておきたいと思います。
民泊とはどのようなものか
元々民泊という用語は規定がなかったのですが、一般的に下記のように定義されています。
「民泊」についての法令上の明確な定義はありませんが、住宅(戸建住宅やマンションなどの共同住宅等)の全部又は一部を活用して、旅行者等に宿泊サービスを提供することを指して、「民泊」ということが一般的です。ここ数年、インターネットを通じて空き室を短期で貸したい人と宿泊を希望する旅行者とをマッチングするビジネスが世界各国で展開されており、急速に増加しています。
国土交通省 民泊制度ポータルサイト より
実際5~6年前のころは、借り手のない区分マンションを民泊用に改装し、Airbnbのような民泊予約サイトを利用して宿泊者を募集して営業されている方がいらっしゃいましたが、日本においてこのような事業を通年で営むためには旅館業許可が必要となるため、いわゆる「違法民泊」の状態が横行するという現象が生じていました。
今現在は以下のような3つの制度があり、いずれかの手続きを踏んだ上で民泊事業を営む必要があります
- 旅館業許可・・・通年で民泊事業を行う際に必要な許可。食事提供のない「簡易宿所」の許可が多い
- 住宅宿泊事業法に基づく届出・・・年間180日以内の営業の場合に必要な届出。自宅の一角を貸し出すようなイメージが多い
- 国家戦略特区法に基づく認定・・・いわゆる特区民泊。特区として認められた地域では、この認定に基づく民泊運営可能(東京都大田区他)
一般的には事業として行うなら旅館業許可、副業、兼業として行うなら住宅宿泊事業法の届出が必要というところでしょうか
投資としての民泊
上記のような違法民泊が拡大する中で、民泊予約サイト側が違法民泊を締め出し、法律に適合する物件でなければ、予約サイトにて宿泊者を募集できないようになりました。
またこれに平行する形で、旅館業許可を取得した民泊用収益物件が投資用不動産として販売されるようになり、民泊物件が収益不動産として普通に販売されるようになりました。
今まで見向きもされなかった木造築古物件が改修され、観光客特に外国人観光客向けの宿泊物件として再生されていく様子をみて、面白い現象だなあと思うのと同時に、本来の街並みを破壊しかねない勢いで、民泊物件への転用が進むのを少し怖いなあという思いで見ていたのを覚えています。
民泊の現状を見て思うこと
時が過ぎ、今は新型コロナウイルスの影響で全世界の経済は影響を受け、特に観光業界は大きな打撃を受けています。
このような状況の中で、民泊物件の投資家さんも大変苦労なさっているであろうことは想像に難くないですし、大変心が痛みます。現状においては民泊を投資物件として検討するのは非常に難しい状況にあるといえるでしょう。このような状況下ですから、M&Aのマッチングサイトを見ると数多くの民泊物件が破格の値段で売りにだされているのを見かけることがあります。
ただ今の状況は、これから民泊を事業として始めたいという方には、大きな機会にもなりえると考えています。事情があって売却されている物件ではありますが、今の状況が落ち着いたあと、いつでも開業できる状況で民泊物件を引き継ぐことが可能であるとも考えられます。本気で民泊事業を検討されている方は、そのまま事業継続が可能である既存の物件、事業を引き継ぐことも検討してみてはいかがでしょうか。
(関連記事)収益不動産を副業にできるか 不動産投資の始め方